ガイアの饗宴〜調和の宴の芸術祭に向けて〜

かつて敵国だったアメリカの兵士たちが弾いていたピアノでコンサートができるこれはまさに「平和の象徴」

私たち音×恩おくりプロジェクトは、「ありがとう」をリレーしていくことで皆が暖かい心でつながり、「世界が調和する」ことを目指して活動しています。

現存わずか「ビクトリーG.I.」との出会い

2018年、私たちは、タカギクラヴィアさんが所有する第二次世界大戦やベトナム戦争の戦地に送られたカーキ色のアップライトピアノ、通称「ビクトリーG.I.」と出会いました。

そのピアノは世界最高峰のピアノ会社、NYスタインウェイ社で製造され、戦地で兵士の心を癒したり、奮起させるためにアメリカ本土から飛行機で輸送し、パラシュートで戦地に送られていました。

それまではコンサートホールやジャズバー、個人宅などで弾かれるために生まれてきたピアノでしたが、1941年戦地に行くためのピアノとして生まれ、1953年までに3,000台以上製造されたと言われています。

そのほとんどが戦地で壊されたり、改造され姿を変えて売られたり、現存するものは世界でもわずか数台。
私たちはタカギクラヴィアご協力のもと、この特別な歴史を持ったピアノでコンサートを行います。

Steinway & Sons社と第二次世界大戦

第二次世界大戦が始まると銅・鉄・真鍮・フェルトなどの材料の使用が制限され、ピアノの製造ができなくなりました。
当時の楽器制作会社の多くは木工技術の高さを評価され、戦争の遂行に必要な木製の軍需物資を生産していました。
ニューヨークのSteinway & Sons社の工場では、木製のグライダーや棺桶の生産を行っていました。
(日本でも、当時日本楽器製造株式会社(現ヤマハ株式会社)が木製の軍用機用プロペラを生産しています)

同工場では戦時中に徴兵された多くの労働者に代わり、約200人の女性工員が働きました。
Steinway & Sons社のドイツのハンブルグ工場では、ナチス・ドイツ軍のために木製の航空機のおとり・二段ベッド・木製のライフルの銃床などを製造していました。

Victory G.I. について

Steinway & Sons社にとってピアノ製造技術の継承は生命線であり、アメリカ政府への申し出によって戦時中に戦地の兵士の慰問と士気高揚のための、小型のピアノの製造が許可されました。
オリーブ色塗装官製ピアノ(Olive Drab Government Issue Steinway:ODGI 別名 Victory G.I.)と呼ばれたこのピアノは小型のアップライトピアノで、脚はなく、鍵盤は熱帯での使用を考慮してセルロイドでコーティングしてあり、低音部の弦は通常使用される銅線と異なり柔らかい鉄線が巻いてありました。
(戦時中、銅は導電体としてより貴重でした)

このピアノは、調律道具・取扱説明書・様々な楽譜(賛美歌からブギウギまで)とともに専用のケースに収納され、時にパラシュートで戦場に投下されました。
Victory G.I. は約2000 ~ 3000台が製造され米陸軍に納入されましたが、過酷な条件で使用され、さらに一般には販売されなかったので、現存するものは僅かです。

Steinway & Sons社年表

1850年ドイツのピアノ職人 Heinrich Engelhaed Steinwegとその一家が、アメリカのニューヨークに移住する
1853年名前をアメリカ風のSteinwayに改名し、ニューヨークでSteinway & Sons社を設立
1859年~交差弦方式を始めとした多くの特許により、コンサートピアノの一流メーカーとなる
1880年ドイツのハンブルグに工場を設立
1914 ~1918年第一次世界大戦
1939年~第二次世界大戦
1943年Victory G.I.の製造を開始
1943年7月ハンブルグ工場が連合国軍の爆撃で全焼
1945年終戦
1960年代~ベトナム戦争や日本製のピアノの台頭などにより経営が悪化
1972年CBS(コロムビア放送)がSteinway & Sons社を買収
その後数々の投資家の買収を経て、2020年、中国企業への売却。

参考書籍
1.高木裕「ホロヴィッツ・ピアノの秘密」音楽之友社2019年
2.R.K.リーバーマン(鈴木依子 訳)「スタインウェイ物語」法政大学出版1998年
情報提供:音×恩おくりプロジェクト応援団 医師Y先生より
写真:サンディエゴ航空宇宙博物館 所蔵

戦争とピアノを通じて地球の未来を考えるコンサート

地球が誕生してから約46億年。
生命が誕生して約30億年。
人類が誕生したのは800~500万年前。

私たち現代人は争いやエゴで自然を破壊し、
地球の長い歴史を壊そうとしているのではないでしょうか。

皆で地球の未来を考えよう。
コンサートを行う土地の歴史にも目を向けることで新たな発見やその土地への感謝、愛情が生まれます。
そして、唯一の戦争による原爆被爆国である日本人だからこそ発信しなければならないことがあります。
日本に生まれ生きる私たちにはそれを伝える使命があるのではないでしょうか。

このガイアの饗宴では、「ヴィクトリーG.I.」「広島の被爆ピアノ」、そして「福島の被災したピアノ」を一つの同じステージに乗せてコンサートをすることを目指しています。
特別な歴史を持つピアノは言葉を超え私たちに「大きな愛」を伝えてくれるでしょう。

コンサートの様子

メディアに紹介されました

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コンサート実績

2019年11月6日タカギクラヴィア松濤サロン

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2019年8月1日越生町公民館視聴覚ホール

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※このコンサートは皆さまのチケット代の一部と募金により運営しております。

こちらもご覧ください

絵画


絵:中野恵奈(作画当時東松山市立南中学校2年)
ガイアの饗宴用に描いてくれました。

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2020年1月19日

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